精神の障害に係る等級判定ガイドラインとは?目的・目安・最新動向を解説
掲載日:2026.02.28
平成28年9月より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の運用が開始されています。
障害年金の認定においては既に「障害認定基準」がありますが、なぜ別にガイドラインが必要なのでしょうか。このページではガイドラインの目的・内容・最新動向について解説します。
等級判定ガイドラインができた背景
障害基礎年金はかつて全国に置かれていた事務センターで認定事務を行っていましたが、都道府県間で不支給率に大きなバラつき(地域差)があると言われてきました。厚生労働省が平成27年1月14日に「「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査結果」を公表し、この地域差を公に認める形となりました。その後、平成29年4月に東京の障害年金センターに認定事務を集約(中央一括裁定)し、現在は障害基礎年金・障害厚生年金ともに障害年金センターで認定が行われています。
等級判定ガイドラインの目的
ガイドライン「第1 趣旨・目的」において、ガイドラインの目的を以下のように述べています。
このガイドラインは、精神障害及び知的障害に係る認定において、障害等級の判定時に用いる目安や考慮すべき事項の例等を示すものであり、これにより、精神障害及び知的障害に係る認定が「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(平成14年3月15日庁保発第12号。以下「障害認定基準」という。)に基づき適正に行われるよう改善を図ることを目的とする。
つまり等級判定のガイドラインは、障害認定基準を厳格化するものではなく、地域差をなくして適正に運用するための補助ツールという位置づけです。
等級判定のガイドラインの目安
精神の障害の診断書は、日常生活能力の残存度合いによって認定を行うようになっており、日常生活能力の判定欄で7項目を4段階、日常生活能力の程度として1項目5段階で表します。
しかし障害認定基準では「どのような判定とされた場合、何級に該当するか」という具体的な定めが全くありませんでした。認定医・診断書作成医・社会保険労務士それぞれが「感触」として持っていたものの、認定医の主観が入る余地が大きかったのです。
しかし「日常生活能力を著しく制限しているか」ということをチェックの付き具合から個別に認定するため、当然のことながら認定医の主観が入る余地が大きかったものと考えられます。
これを統一したのが「等級判定の目安」です。ガイドラインの目安により、診断書を見て誰でも目安がわかる形となり、約9割がこの目安通りに決定していると言われています。
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ガイドラインの目安により、診断書を見て自分の目安というのが誰にでも目に見える形となり、9割がこの目安通りに決定していると言われています。一方で、令和7年4月の報道によると、障害年金の不支給率が前年度から倍増していると言われており、目安から外れる認定が増えていることを示唆しています。
ガイドラインの評価と既認定者への配慮
このガイドラインが策定される際、厚生労働省は専門家会合を開いて協議をしました(私も傍聴に行きました)。その中で一番の懸念材料であったのが、事実上の基準引き上げにつながるのではないかという点です。
(第3回)精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会
特にこの数年前から、知的障害者の障害者就労に伴う支給停止が非常に増えており、その点について様々な団体から意見が出ました。
その結果、
既認定者の再認定にあたっても第3の3(4)により診査を行うが、ガイドライン施行前の認定も障害認定基準及び認定医の医学的知見に基づき認定されたものであること等を踏まえ、既認定者の障害の状態が従前と変わらない場合については、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とする。
という付則が最終的に加えられることとなりました。
この「従前と変わらない」というのは、障害状態確認届でいう⑥欄の「前回の診断書の記載時との比較」と裏面の判定および程度欄によるものと考えられます。これらを「目安」に当てはめて等級非該当となっても支給停止しない、ということになります。
ただし、障害者雇用が継続している場合などについては、これまで通り「障害の程度が該当しなくなった」と年金機構が認定する可能性は依然としてあります。
2025〜2026年の最新動向:不支給率の倍増
令和7年(2025年)4月の共同通信の報道によると、障害年金の不支給率が前年度から倍増しているとされています。これはガイドラインの目安から外れる認定が増えていることを示唆しており、精神・発達・知的障害の新規申請者にとって厳しい状況が続いています。よくある質問
Q:等級判定ガイドラインは障害認定基準とどう違いますか?A:障害認定基準は障害等級の基本的な判定基準で、ガイドラインはその運用を補助するツールです。ガイドラインは認定基準を厳格化するものではなく、地域差をなくして適正に運用することを目的としています。
Q:ガイドラインで等級非該当になっても支給停止されないのですか?
A:既認定者については「障害の状態が従前と変わらない場合は当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とする」という付則があります。ただし障害者雇用が継続している場合などは支給停止となる可能性があります。
Q:精神障害の遡及請求にもガイドラインは適用されますか?
A:適用されます。適用前に不支給となった障害認定日請求が、ガイドライン施行後の再請求で支給となったケースもあります。障害認定日時点の診断書の内容に基づいて判定されます。
まとめ
等級判定ガイドラインは、精神・知的障害の認定における地域差をなくすために平成28年9月に導入されました。約9割の案件がこの目安通りに認定されていますが、2024〜2025年にかけて不支給率が急増しており、状況は流動的です中止する必要があります。ご不安な方は事前にご相談ください。この記事がお役に立ったらシェアお願いします。








