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障害年金入門

知的・発達・精神の障害における障害の程度ってなんだ?(1)

掲載日:2017年06月09日

知的・発達・精神の障害は、障害年金を考えるうえで外せない障害です。なぜなら障害年金の半数は上記の障害であるからです。(平成26年障害年金受給者実態調査)以下、これらをまとめて「精神の障害」といいます。

当事務所が扱う障害は、特に精神の障害が多いというわけではありませんで、全体の約半数と統計と同じくらいの比率になっています。ただ精神の障害について多く取り扱っているのは事実ですので、これについて日ごろから考えていることを改めて書きたいと思います。

精神障害の障害の程度とは

障害年金でいう障害の程度とは、基本的に診断書で測ることとなります。

肢体でいえば、診断書の主な記載項目は筋力と関節可動域です。精神の場合は日常生活能力を記載することとなっています。つまり、精神の障害における障害の程度とは、日常生活能力がどれだけ欠けているか、で測ることとなります。本人の感じる苦痛の度合いで測るのではないのです。

ここで評価される日常生活能力は、適切な食事身辺の清潔保持金銭管理と買い物通院服薬他人との意思疎通・対人関係身辺の安全保持・危機対応、そして社会性という項目です。これを独居を想定したうえで医師が評価することになっています。

対象となる疾患

主に対象となる疾患は、簡単に言うと「うつ病」「そううつ病」「統合失調症」「器質性精神障害(高次脳機能障害やアルコール・薬物等による精神障害等)」「てんかん」「知的障害」「発達障害」が対象です。神経症、人格障害というのは原則として対象とならない、とされています。(国民年金・厚生年金保険障害認定基準第8節2認定要領)

原則として、というのは「臨床症状から判断して精神病の病態を示しているもの」については対象となるとされているからです。(前述認定要領)

しかし「臨床症状から判断して精神病の病態を示している」の定義が、不十分で判断できないとする精神科医が多くおり、またこの定義を保険者は明らかにしていません。(複数の社会保険審査会裁決より)


まれに「うつ病は対象にならない」という医師がおられます。それについては等級判定ガイドラインを作成した際の専門家会合(第5回)の意見が参考になります。以下はその抜粋です。
(青嶌構成員)
 気分障害についての「現在の病状又は状態像」というところなんですが、気分障害で、いつも思うんですけれども、要するに、基本的に気分障害と統合失調症とは、障害年金相当ということを考えた場合に、ベクトルがちょっと異なる疾患群であると。

なので、ここの、特に気分障害のことに関しての記載は、要するに、重症なときだけのエピソードが羅列されているので、それが持続的に続くというのはごく少数であり、かつ、そういう人は入院適用で、入院しなければ一般生活できない。障害年金をもらっていて気分障害でというのは、いまいち、僕的には、ほかの統合失調症、精神、発達遅滞等とはちょっと異なるという印象を強く持っております。

基本的に気分障害で年金相当であることは、主治医がその程度重症度が完璧に書けるぐらいの診断書が出なければ、本来はちょっと違うんじゃないかと思います。

ある意味、自分が治療できないということを公にする指標になってしまうぐらいの覚悟がなければ、その診断名でこの年金診断書を書くのはどうかなと常に思っています。

(後藤構成員)
 青嶌先生の意見に賛成なんですけれども、時代の趨勢がどうもね、前回も言ったんですけれども、昔はうつ病で障害年金を書くというのは恥だったので、絶対そういうのは出てこなかったです、二十数年前ですけれども。

よっぽどずっと入院されていて自殺念慮がとれないとか、本当に10年ぐらいうつうつとして外に出ないという、本来言われていた難治性の重い人というのでようやく、でも、それでも2級ですよねっていう、そんな感じで、そういう時代だったと思いますが(略)

(有井構成員)
お二方の意見に僕も大賛成です。たしか、厚生労働省の統計でも、1999年からの9年間でうつ病の有病率、2.4倍になったみたいな話もあるし、明らかにそれは軽症分が増えてきている。

ただ、残念ながら、その患者さん自身は、自分が軽症だかどうだかわからないという、ただ、受診して投薬を受けても症状が改善しないということでの膠着した心労状況が起こったときに、多くの先生はそれでも踏みとどまって何とか現場の治療を優先していると思うんですけれども、一部、ドクターの中にはそれを障害年金のほうに持っていこうとするような方々が、うつ病に関して多いと思います。

本当に、ほぼ診断書を出さないという先生もたくさんおられるんですけれども、うつ病とか、双極性2型に関しては、割と頻繁に、残念ながら出してこられる先生もぽつぽつといたりしてというふうな状況なので、そこは、この障害年金制度を考えていく上で、感情障害に関する問題って、一番実は大きい点じゃないかという気はしています。
これらは障害認定基準を作成している医師ではなく、実際に認定を行っている認定医の意見ですが、うつ病に対する医師の考え方が含まれています。

これらの考え方についてまで障害認定基準にはありません。事実としてあるのは、障害認定基準にうつ病(気分感情障害)が含まれているという事のみです。よって、現時点においてこれらは医師の独自の見解と考えるべきですが、こうした考えの医師がいるという事実は明確になっていると思います。

就労についてどう見るか?

精神の障害は上記の通り日常生活能力で見ることとなるのですが、診断書の項目とは別に「就労」について保険者は評価しています。障害認定基準上はどのように規定されているでしょうか。
就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。

したがって、現に労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するととともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
とされています。

確認する項目自体は挙げられていますが、これについて具体的にどのように判断するかは記載されていません。そのため、平成29年4月以前は事務センターごとに解釈が異なり地域差の原因となっていたのが実情です。これを是正するために作られたのが等級判定のガイドラインです。



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