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障害年金入門

障害年金の社会的治癒とは?不利益を受けないための考え方。

掲載日:2017年05月11日

請求者の利益を守る考え方「社会的治癒」

障害年金には、請求者の利益を守るための考え方として社会的治癒という考え方があります。
社会的治癒の考え方自体は難しくありません。しかしそれを証明していくことが難しく、結果的に必ず適用されるというものではありません

そのため該当する可能性のある方は、ご自身で請求されずに、社会保険労務士へご相談いただいた方が良いと思います。

一度初診日を判断して請求し、不支給となったあとに主張を覆すのは難しいものです。

社会的治癒の考え方と要件

社会的治癒は、医学的に治癒したとは言えなくても、年金請求上もそのように取り扱ってしまうと不利益が生じる際、「前の病気」と「後の病気」について、別々の病気として扱うことです。
坂田のブログでも例を挙げて解説しています)

この時「前の病気」と「後の病気」は医学的に同じ傷病、または相当因果関係がある傷病になります。

具体的には、別の傷病として取り扱うことで初診日が変わってくるので、結果的に保険料納付要件を満たし請求が可能となったり、請求する制度(国民年金・厚生年金)が変わり、受けられる給付が変わることにつながります。そのため、障害年金請求においてはとても重要な考え方です。

上記の通り、社会的治癒は前の病気と後の病気が医学的に同一である、または因果関係がある、ときにこそ適用を検討するものです。医師が同じ病気と判断したとしても、障害年金上ではそう取り扱わないのが社会的治癒、ということになります。

社会的治癒が成立するためには、以下の点に当てはまることが必要とされています。
1.症状が消滅して社会復帰(就労など)や通常の日常生活が可能となったこと
2.治療投薬を必要とせず、外見上治癒した期間が一定程度継続すること

ただし2については予防的・維持的・経過観察的な治療が継続していても成立を妨げないとしています。

社会的治癒は法律や規定として定義されたものではなく、取扱いとして運用されているものです。そのため、治癒した期間がどの程度を指すのかは明確に決められておらず、障害認定基準にも書いてありません。実際の認定においても事例ごとに検討されています。

病気によっても異なり、特に精神疾患では長く(5年程度)求められることが多い傾向にあります。

余談ですが、健康保険法の傷病手当金についても同様に社会的治癒の考え方があります。同じ傷病で一度しか受給できないのが傷病手当金の原則ですが、社会的治癒が成立した場合は二度目の受給も考えられます。

知らない間に不利益を被りかねないもの

社会的治癒は、何も主張しないでいても認められる、という性質のものではありません。

たとえば、本来の初診日が国民年金、後の受診日が厚生年金加入中にあったとします。この場合、年金事務所等では「初めて医師の診療を受けた日が初診日ですよ」と案内するはずです。そしてそれは間違いではありません。そのまま請求すれば、障害基礎年金の請求することになります。

この場合は、仮にその間に社会的治癒とみられる期間があったとしても、あくまで請求したのは障害基礎年金ですのでそのまま障害基礎年金として認定を受けることになります

この時に、仮に社会保険労務士にご相談をいただいて、その社会保険労務士が適切な知識を持っていれば、その期間が社会的治癒に当たるか、またその主張をすべきか、どのように証明していくかということを判断すると思います。その結果、より有利な給付を受けられることも実際にあります。

主張せずにそのまま請求してしまうと、知らない間に不利な制度で請求している、ということもあり得るのが、社会的治癒と障害年金の怖いところです。
*追記
最近、社会的治癒の相談が増えています。ここで社会的治癒を解説しているからですが、社会的治癒はそう簡単に認定されるようなものではありません。
また窓口で話しても、また障害年金を扱わない社労士に話しても、下手すればチンプンカンプンだと思います。そんなに簡単な法理ではないからです。

ここで認定の可能性について解説していることの責任を感じていますが、社会的治癒によって可能性を得られることを知っていただきたく、今後も掲載します。
特に一般の方が主張して簡単に容認される類のものでないことを付け加えます。再審査請求まで行かないと認められないようなものも多くあります。

年金事務所などで経験と知識が豊富な窓口担当者であれば、そういった指南をしてくれる可能性もあると思います。ただ、毎回担当者が変わってしまう年金事務所が多いので、そこがネックにはなります。



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