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障害年金入門

障害年金の初診日って?そんなに大切な日なのですか?

掲載日:2015年11月13日

*この「初診日」ページは少し深く突っ込んでいます。
もう少し簡単に解説した(一般の方向け) 「初診日」とはなんでしょうか。もご用意しています。

障害年金を請求するのに「初診日」を避けて通ることはできません。
障害年金における初診日とは、文字通りその症状で初めて医師の診察を受けた日です。

こう書くとシンプルで簡単なのですが、障害年金請求で一番大切になる日で、私たちのような社会保険労務士から見ても、大変奥が深い日になります。

初診日は原則特定しなければならない

障害年金請求では、初診日は原則として日付まで特定して請求を行うことになります。
この日付を使用して、どの制度に加入していたか、保険料を支払っていたかを確認しますので、初診日という日付は、受給権の有無や制度を左右する大変重要な日付ということになります。

非常に重要な日付であるが故に、初診日を特定するのに必要な証拠が足りていない、として書類不備として年金機構の認定部署から戻ってきてしまったり、支給されるはずのものが認定すら受けられなかったり(却下処分)します。

特に最近では「提出された資料では初診日を特定できない」とする却下が増えています。

審査請求時点や再審査請求時点で持ち込まれるご相談でも、初診日特定の問題は増えており、一度こうなってしまうと後から覆すというのは非常に骨です。

書類が不足したまま請求をして却下処分を受け、よく調べてみると提出可能な資料が出てきたりし、最初からこの資料を出せていれば、と思うこともよくあります。なかなか審査請求では認められないのも事実としてありますので、再審査請求までかかってしまうことも多く、そこで認定されれば上出来ということになります。
(記事:初診日について争った事例

この初診日をどこで主張するか、というのは、特に私たちのような専門家とご自身で請求する際の考え方の違いが大きく現れやすいと思います。

年金事務所等の窓口は極端な話を言ってしまえば、書類を受け取り、それを上部組織に回せれば問題自体はありません。どうすれば請求者の受給につながるか、という観点から業務を行っている担当者ばかりということではないということです。ですから、間違っても「初診が取れないならこの書類を提出してください」という言葉を真に受けて、「添付できない申立書」を安易に提出してはいけません。

添付できない申立書は、受付時の整合性を取るために「窓口で必要な資料」なだけであって、その書類に一筆書いただけで初診日として認められることはありません。認められるためには、必ず他の資料が必要になります。

医療機関を転々とした場合やカルテ廃棄で初診日が証明できない場合

難病の場合は特に初期においては診断が付かず、医療機関を転々とすることも多くあります。

そうした日も上記と同じ考え方で、確定診断前の受診も初診日になりうることとなり、古い記録でカルテが廃棄されている場合など、細かく追って行かなければならないこともあります。こうしたカルテ廃棄で特に多いのが、糖尿病の初診日の問題です。

*ここからは平成27年10月1日からの改定の内容となります
例えば、幼少期(や学生時代)に尿検査で尿蛋白が出たが二次検査で異状なしとされ、その後成人して働きだしてから会社の定期健康診断で指摘を受けた場合、また当時の健診の結果がない場合など、初診はいつになるでしょうか。

平成27年9月末まではこれらについては、健康診断での指摘を初診日として認定することが多く、上記のような「初診日不明」による却下、障害基礎年金で請求してしまう、などのケースが多発していました。
そしてこれらの資料がない場合には第三者証明による初診日証明に頼らざるを得ず、第三者証明も不支給処分が多くあるのが実情で、認定困難事例となることが多くなってしまうのが現状でした。

平成27年10月1日以降は、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。」とされ、年金機構の内部資料においても「受診状況等証明書に健康診断で指摘の記載があっても、健康診断結果の提出を求めない」としています。これはさりげないですが大きな変更です。これによって救済される人が多くいるのは事実ですが、不利益を受ける人も明らかに出ることとなります。

またこれには以下のような付記があります。

「初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証(受診状況等証明書)が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。


この記載により健診日を初診日とする余地を残したわけですが、あくまで「本人の申し立てがあれば」というのがポイントです。通常、障害年金を請求しようとしている人が障害年金に精通しているわけがないので、請求人に不利益が生じないように運用するため(つまり本人に申し立てをさせるため)には、きちんと窓口で説明されることが大前提になります。はたして年金機構にそこまで期待できるか、疑問があります。

どんどん、一般の方が自身で請求することが困難になっていっているようにしか思えません。

また、初診日の認定には、社会的治癒について検討しなければならないこともあります。 詳しくは社会的治癒のページをご覧頂きたいと思いますが、今までは健診で指摘を受けた日を初診日として請求する場合もある一方で、単なる尿蛋白の指摘で終わり、かつその後通常の労務に服するなど、生活を維持できていたため初診日に当たらない、と主張して争う場合もありました。これらがどのように認定されていくのか、しばらく見守る必要があります。

また、上記のように厚生労働省令で定められたにもかかわらず、依然として年金機構は「障害年金の初診日に関する調査票」と称する書類で、自覚症状をいつ感じたか、健診で尿の異常を指摘されたことはなかったか、などを記載させ、健康診断結果の提出を求めています。こういった矛盾をどのように運用していくかは全く不明で、今までのように、数十年前の朧げな記憶、書き間違え、記憶違いでも却下していくのか、今後の見通しは依然として不透明です。

これらすべての観点から、不利益を受けないように初診日を検討して請求しなければなりません

こう言うと「不正請求」と捉える方がおられますが、それとは明らかに異なり、これらはあくまで、請求を受けられる人がきちんと受けられるように証拠を収集しなければならないことを意味します。
「初診日は一つしかない」という年金機構職員もいますが、それが事実と異なるのは多数の社会保険審査会裁決からも明白です。それほど注意を払わなければ、不利益を受けたり、年金が全く支給されない結果になりかねないのが「初診日」なのです。

障害年金における「初診日」についてのまとめ

このように障害年金の請求において、初診日とはとても重要な日です。
原則としては医療機関による客観的な証明が必要ですので、いくら自分がそれ以前から発症していた、厚生年金加入時点に初診があった、と言ってもその記憶だけで請求することはできません。

また一度却下や棄却とされた事案であっても、新しい証拠が見つかった時など、一度請求して不支給(却下)だった場合にも再請求は可能です。一度の却下で諦めていただきたくないと思います。



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